実践!健康経営〜うつを出さない職場づくり〜11月号

依存症について

今回は依存症についてお話しいたします。依存症はニコチン、アルコール、薬物、ギャンブル、浪費(買い物)、インターネット・・・。さまざまですが、身近で分かりやすい依存症としてニコチンたばこを例に挙げてみます。吸い始めは16〜20歳ですが、喉に煙がむせて、何でこんなものを大人は吸っているだろうと感じます。ここでむせてから吸わなくなった人は幸運な方です。それから毎日少しずつ本数が増えていき、自分の意思では止められなくなった状態が依存の状態です。

フロイトの精神分析説によると、赤ん坊が母親に乳首を求めて母乳で食欲を満たすのが「口唇欲求」です。ニコチン依存症はこの口唇欲求の残存ではないかとの説があります。口唇欲求がたばこを吸うことにより満たされるわけです。最近の脳科学の研究から、米国の精神医学会では、物質依存と定義しています。この診断分類は、依存、乱用、中毒、離脱となっています。

ニコチンは依存だけの分類にあるので、依存物質としては低位なランクです。先ほども話しましたが、依存症は、本来はコントロールできるはずの自分の行動が、精神的依存か中毒症状によって自己制御できなくなった状態です。さらに悪いことは、自己否認をして自分は依存症でないと言い切っていることです。

身内に金銭面で迷惑をかける買い物依存症は自分だけでなく、家族のおカネまで使って買い物をしてしまいます。このように依存症は単に自分だけの問題でなく、家族を含めた周りの人に不幸をもたらすものです。

賢いみなさまは依存症にならないと信じています。

(湘南デザインCEO/産業精神保健機構理事長・松岡康彦)