実践!健康経営〜うつを出さない職場づくり〜8月号

ストレスとうつ①

今回は「ストレスとうつ」の関係についてお話しします。厚生労働省の職場環境調査によると、職場で何らかのストレスを抱えている人は6割いるという結果でした。「仕事の量や質にかかわるストレスはありますか」との問いに対しては、3割が「ある」と回答。一番高いのはズバリ「職場での人間関係」で4割以上でした。
ストレスがすべて悪いわけではありません。例えば、陸上選手が100㍍走で瞬発力を発揮するには、適度なストレスが必要です。ゴールを迎えて満足いく走りができれば、スタート時点でのストレスはストレスコーピング(対処、除去)できるのです。
ただ、ストレスを蓄積することは良くありません。ストレスはあくまで「心の問題」なので、身体で感じるまでには時間がかかります。形としては見えませんが症状は徐々に出てきます。肩が凝るようになった。寝付きが良くない。悪くなると眠れないなどの不眠症状を訴え始めます。
やがて仕事を含め何事にもやる気が起こらなくなるのです。そして食欲がなくなる、性欲が減退するなど自覚症状が出ます。このような症状が出てきたらイエローカードです。
対処法としては、まずストレッサー( 原因)を考えないといけません。ストレッサーが分かったら、ストレスコーピングすることを考えます。
自分が日常生活でどの程度のストレスを感じているかを測る尺度評価に「ストレスマグニチュード」という方法があります。これは計43項目ありますが、いずれも簡単な質問項目です。ここで合計300点以上になると、半年以内にうつが発症する確率が80%とされています。
(湘南デザインCEO/産業精神保健機構理事長・松岡康彦)