かながわ経済新聞11月号に掲載されました

かながわ経済新聞11月号に掲載されました。

経営者の守備範囲

今月は製造業における「中小企業の経営者の守備範囲」についてお話しします。製造業の主業務である受注製造でない部分に触れてみます。まず雇用の関係では、職業安定所や労働基準監督署、安全衛生管理、年金事務所、健康保険組合、各学校への社員募集、派遣会社との付き合いがあります。

一方、設備関係では消防署をはじめ、国や自治体の環境部、上下水道、汚水処理、電気保安関係。総務全般では県や市役所、商工会議所、警察署。お金については税務署と銀行。補助金関係は国や自治体の出先機関との付き合いがあります。

これら関係機関とのやりとりの大半を、中小企業の経営者は一人でやっています。確かに、外部の専門家と顧問契約し対処する場合がありますが、最終判断は経営者がしっかりと下し、責任を取ります。

「中小企業の経営者は幅広い知識が必要である」と、以前から当連載でも繰り返し話していますが、経営する上では常に勉強し、外部専門家にも負けないほどの知識で臨んでほしいものです。外部専門家は1社だけを引き受けているわけではありません。他人に丸投げするのではなく、自身で会社のことを最終判断し、責任を取るという自覚を忘れないでください。

また、相談窓口などの担当者は、リスクや経営の責任を持たない職員です。たとえアドバイスを受けたとしても、実際に行動する時は注意深く判断し、実行していくことが大切です。ただ、中には親身になって一緒にやってくれる人もいます。ですから、人を見抜く「審美眼」も必要になってきます。中小企業の経営者の守備範囲は広角にわたりますが、紅葉を楽しみながら愉快に中小企業経営をやっていただきたいと思います。

(湘南デザインCEO /相模原商工会議所工業部会副部会長/公認心理師)