かながわ経済新聞7月号に掲載されました

かながわ経済新聞7月号に「松岡康彦の産業よもやま話」が掲載されました。

経営と昇進について

今月は「昇進」について話します。職場において、どのようなリーダーを置くかで職場環境や業績が違ってくることは、ご承知のことだと思います。では、適材適所にリーダーを配置するには何が重要になるかです。

三隅二不二博士は「PM理論」において、リーダーについて論じています。Pは「performance function」で、業績の成果を上げるタイプのリーダーを指します。具体的には、売り上げ・利益を出すように組織を引っ張っていくタイプです。数字の成果を重視します。

それに対し、M「maintenance function」は、組織のチームワーク力を強化できるタイプのリーダーです。強固な人間関係作りから入るタイプのリーダーです。この「P」と「M」が、リーダーにどの程度備わっているかで、リーダーシップを発揮できる基準を示す理論です。

では、具体的なリーダー選びについて説明します。まずは仕事ができないとリーダーにはなれません。「仕事ができる」という意味は、最後まで責任感をもってやり遂げる力があるかです。その「やり遂げる力」はどうすれば獲得できるのでしょうか。それは人生の成長過程における成功体験が大きいです。自らチャレンジして得られる成功体験がない人は、責任を持った仕事が体得できません。

成功体験はすでに幼少期から始まっています。勉強やスポーツ、音楽、舞台、踊り…。何でも構いません。努力して人より優れた部分があると自分自身で自覚していることです。成功体験を持ったリーダーは、職場で責任感を持って仕事をし、組織のリーダーであることの意識が強いです。そういう人たちが集まれば、新しいことを企画、実践できるチャレンジャー集団になれます。

それに対し、やる気のない組織は、リーダーにPM理論能力が備わっていませんので、旧来からのことを漫然と繰り返すだけになります。OJT(オンザジョブトレーニング)での指導もできません。大切な時間とお金を使っての外部研修を修了し職場に戻っても、やる気がないpm理論能力失格のリーダーの下では、無駄な研修になってしまいます。

こういう組織にならないようにするためには、社長自身も自らをしっかり磨くことが肝要です。盛夏を楽しみながら、自らの気持ちも熱くなって仕事をすすめてください。

(弊紙特別編集委員、相模原商工会議所工業副部会長、公認心理師)