かながわ経済新聞6月号に掲載されました

かながわ経済新聞6月号に「松岡康彦の産業よもやま話」が掲載されました。

松岡康彦の産業よもやま話

こんな時だから夢を語ろう

新型コロナウイルスの感染拡大により「ソーシャルディスタンス」という言葉を、最近やたらと聞くようになりました。ただ、このソーシャルディスタンスが単なる物理的な距離にとどまらず、いつの間にか精神的距離にもなってきた気がします。

歴史を振り返ってみましょう。かつての日本、戦前は大家族が当たり前でした。そこには、大勢の家族が一つ屋根の下で暮らす日常がありました。やがて戦後の高度経済成長期を迎えます。そしてバブル崩壊後の超低空経済成長と超高齢化社会が到来したことで「個家族化」が浮き彫りになりました。家庭に人がいない孤立した状態を指します。無論、家庭内でのコミュニケーションも希薄になります。今回のコロナ禍により言われたソーシャルディスタンスはこの傾向を加速させた気がします。

さて、私たち経営者にとっては、精神的なソーシャルディスタンスは決してあってはなりません。私が若い経営者たちによく言うのは、人と付き合う時には「ゲームセンターのガチャガチャではなく、UFOキャッチャーの人形のようであれ」ということです。

ガチャガチャは一見すると、中にあるたくさんのオモチャが交わっているように思いますが、実際はそれぞれが透明のプラスチックケースに入っていて全く交わっていません。人間関係で言えば「表面的なお付き合い」です。これに対し「UFOキャッチャーの人形」は直接交わっています。

経営者は常に孤独です。だからこそ、多くの経営者仲間をつくってもらいたいものです。その際「ガチャガチャ型」では何も得られません。顔を合わせ交わってください。そして、こんな時だからこそ、愚痴を言い合うのではなく、明日の経済を語り、夢を語ってください。何かのヒントが得られるはずです。

(湘南デザインCEO/相模原商工会議所工業部会副部会長)